ヨーロピアン・スタディーズ

人間の権利とヨーロッパの平和構築を学ぶ

January 14, 2018

グローバルに活躍する全人的リーダーの資質を養うことを目的に、毎年実施されている海外研修プログラム“ヨーロピアン・スタディーズ”。今年は、2018年1月4日から14日の11日間で、 オランダ、スイス、ポーランドの国際機関や歴史的施設を巡りました。

参加した生徒たちは、ヨーロッパの多様な文化や歴史に触れ、諸外国との関わりを理解することで、世界の諸問題への興味と多角的な視野を広げる有意義な時間を過ごしました。

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羽田からフランクフルトで乗り継ぎ13時間のフライトを経て、最初の訪問地、オランダの首都アムステルダムに到着。翌日からの2日間で4か所の研修地を訪問します。

1日目は国際刑事法廷メカニズム(MICT)と在オランダ日本国大使館を訪れました。
MICTでは、旧ユーゴスラビア・ルワンダの戦犯法廷の解説を全て英語で受けた生徒たち。専門的な内容も理解するリスニング力や単語力の必要性を実感しました。

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午後は、大使館で書記官の森さん、播本さんから仕事の内容やオランダと日本の関わりについての講話を聞き、その歴史に思いを馳せます。

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翌日は、文化的な側面からオランダに触れていきます。アムステルダム国立美術館でレンブラントやフェルメールの名画を鑑賞し、歴史ある街並みを見学しながら向かったユダヤ歴史博物館でユダヤの風習などを学びます。アンネ・フランクの隠れ家では、自由な暮らしを奪われてなお、生活を楽しむ工夫を忘れないことの大事さを体感。

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生徒たちは、その時代、その場所に確かに息づいてきた人々の、日々の営みや歴史の重みを全身で受け取りました。

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次に滞在したスイスのジュネーブでは、2日間で、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)、国際労働機関(ILO)、国際赤十字の4つの国際機関で講義を受けました。

各機関の活動や歴史に関する知識、少子高齢化や難民といった日本社会をとり巻く現況や展望・役割などを学ぶと同時に、双方向的に対話する講義では、自分の考えを積極的に伝えることの大切さを実感。国際機関で働く国際人として必要な資質を肌で感じ取っていきます。

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国際赤十字の講義後に参加したワークショップでは、アイスブレイクで“戦争には法律が必要であること”を理解。国際人道法の中身を3つの信条に分類するアクティビティをとおして、さらに理解を深めました。

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最後の訪問国はポーランド。スイスから3時間ほどのフライトを経て、かつてポーランド王国の首都として栄えた古都クラクフに降り立った生徒たちは、翌日、アウシュビッツ・ビルケナウ博物館を見学します。

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最後の研修地アウシュビッツ・ビルケナウ博物館では、博物館最初で唯一の外国人公式ガイドである中谷剛さんの案内で施設を見学していきます。

2つの収容所を進みながら、「文化水準の高かったドイツで、なぜこのような悲劇が起こってしまったのか?」などの中谷さんの問いかけに、生徒たちは深く考えを巡らせる場面もありました。
日本の難民や外国人への不寛容さや人権を奪われ物として扱われたユダヤ人の話、アンネ・フランクが過ごしたビルケナウの見学は、ここまでの研修地で学んだことが、ひとつに収束されていく体験となりました。

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最後に、ナチスの虐殺から多くのユダヤ人を救ったドイツ人実業家の実話をもとにした映画『シンドラーのリスト』の舞台となった、シンドラー琺瑯工場を訪問し、当時の様子をたどりました。

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今回の研修で生徒たちは、今まで机の上で得た知識を、実際の場所・実物・情報に触れて全く違う印象を感じたり感銘を受ける体験をとおして、ひとりひとりの中に“生きた知識”として深く根づかせました。

また、日常的なやりとりから専門的な内容の講話まで、英語で多くのコミュニケーションをする機会があったことが、「さらに深いコミュニケーションや知識を得るために英語をもっと学びたい」という意欲にもつながりました。

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実質的な知識と学習への高いモチベーションを得て、世界で活躍する未来への一歩を進めました。